| 「天空のエスカフローネ」 １９９６年 テレビ東京（全２６話） 主人公は普通の女子校生。「エースをねらえ！」みたいな高校のクラブの話から始まるが、突然「聖戦士ダンバイン」みたいな異世界に飛ばされて、そこで剣士と出会い、「機甲界ガリアン」みたいな巨大機械騎士の戦闘に巻き込まれる・・・という話。これだけ聞くと、ありがちで安っぽい内容に聞こえるけれど、設定や脚本が良く練り込まれてて実に上手い。原作マンガとは絵柄もストーリーもかなり異なる。完成度高し。 普通こういうアニメだと主人公が主役メカに乗って戦うのが普通だけど、エスカフローネの主人公は普通の女子高生（陸上部）なので、走るのは得意だけど一切戦わない（戦えない）。そのかわり不思議な直感でヒーロー（エスカフローネに乗る若い王）を助けたり、助けられたりする。 シリーズ後半、「運命」を操作する技術というのが登場するのだが、これがこの異世界の秘密や、主人公の不思議な直感の謎に絡んでくる。「運」を強化した敵というのが登場した時には、それまでほぼ無敵だったエスカフローネですら対抗できなかった。だって攻撃しようとすると攻撃する前に”運悪く”故障してしまうんだもんなあ。まるで「ラッキーマン」のような恐るべき敵であった。ある意味反則。 |
| 「機動戦艦ナデシコ」 １９９６年 テレビ東京（全２６話） 木星からの謎の侵略者に対して劣勢の地球軍。民間企業が建造した高性能戦艦ナデシコの艦長に指名されたのは、２０歳のキャピキャピな女の子。大ボケだけど戦術は天才という女の子艦長と、それをとりまく人達の恋と戦闘と葛藤の日々。コメディ味だけどストーリーはあくまでシリアスというバランスが上手い。 劇中劇として「ゲキガンガー３」という架空の熱血ロボットアニメが登場するのだが、これが実は物語の鍵になっているのも意外だった。ゲキガンガーは最高にかっこいいと思っていた主人公だったが、実は木星の敵もゲキガンガーを崇拝していて、「地球は悪だから（ゲキガンガーに出てくる悪の軍団と同じように）滅ぼされて当然！」と言われ、ショックを受ける、という展開にはかなり驚いた。それまでは「正義の熱血で悪を倒す！」事が良い事のような話の流れだったのが、一転して何が良い事なのか判らなくなってしまうのだ。結局あんたはどういう考えで、何の為に戦うのか？という、けっこうヘビーなテーマが露出する。 タイトルが「宇宙戦艦ヤマト」のパロディになっているのも、実は「ふざけたフリをして、さりげなく本音を言う」という演出の一つだったのではないか？と思えてくる。 |
| 「新世紀エヴァンゲリオン」 １９９５年 テレビ東京（全２６話） ヤマト、ガンダムなどに続いて、伝説となるであろう大ヒットアニメ。やたらに緻密な設定。緊迫したストーリー展開、謎だらけでしかも難解な内容、視聴者を突き放したような終わり方。救いが無さそうな重苦しい雰囲気は原作版デビルマンを思わせる。その特異な内容から、普段アニメとは無関係の雑誌でも特集が組まれたり、メディアミックスな展開ぶりが経済新聞にもよく取り上げられた。 最初のテレビ放映時には圧倒的な人気があったが、映画版の真のエンディングを観た後、急激に熱が冷め、今では口に出すのも恥ずかしいという感じ。可愛さ余って憎さ百倍という人も多いのでは？ 映画版はテレビ版に輪を掛けたような精神異常的な内容になり、一度見ただけでは内容がよく解らないが２度は見たくない、というような「気持ち悪い」映画であった。また「映画エヴァンゲリオンを見る観客」を自身の映画の中に登場させ、まるで「お前らこんなアニメを観てる場合じゃねーぞ」みたいな演出をした。これがアニメオタクに直接嫌悪感を植え付けた可能性大。私もかなりドキリとした。でも今でも「かなり凄い作品」だと思っている。 |
| 「少女革命ウテナ」 １９９７年 テレビ東京（全３９話） うーん、これも凄い。何だか黒テントだか天井桟敷だかの戯曲みたい。というよりも完全にそういうのを意識して作っている。実に実験的前衛的なアニメだ。テレビ東京だからこそ作れた意欲作、と言った所でしょうか。（この当時、テレビ東京はアニメの最先端だった） これの原作監督をやっている幾原邦彦という人は、アニメ演出家にしては珍しく（失礼！）おしゃれでカッコいい人だ。見た感じ小室哲哉に似ている。ビデオ版にはこの人自身による作品解説とか、あの不気味な挿入歌（劇団「万有引力」のＪ・Ａ・シーザーによる合唱曲）のカラオケとかが収録されている。 ストーリーは文章だけではちょっと説明しずらい内容なのだが・・・、王子様に憧れるあまり自分自身が王子様になろうと決心してしまった女の子（主人公）が、学園内で非現実的な決闘を繰り広げるという内容。やっぱ、これだけじゃあさっぱり判らんね(^^; 印象的なのは男性キャラの異様さ。黒幕らしい学園の若い理事長（色男）、生徒会長（色男）、不敵な友人（色男）などが、いちいち胸をはだけてポーズをとる！！ 学生服の下は素肌。お前ら下着やシャツは着てないのか！？ しかもズボンはベルト無しで、前のチャックは半開き！ 夜のハイウエイを爆走するスポーツカー（赤いオープンカー、チェンジレバーがやたらに細長い外車）。走行中なのに突然運転席から飛び上がり、ボンネットの上に座る。狂的な微笑みを浮かべながら胸をはだけて耽美なポーズ！！ 誰も運転してないのに何故か爆走し続ける車！！などなど。 ちなみに最終巻のビデオの後半にはミュージカル公演されたウテナが収録されていて、舞台の上で例の不気味な歌（「絶対運命黙示録」など）を歌っていた。ウテナ役の人はかっこ良かったけど、アンシー役の人はちょっと・・・。ニョーボは「ひどい〜。これじゃあサザエさんだよ〜」と笑っていた。 |
| 「銀河英雄伝説」 大長編、大河ドラマ。本編全１１０話。外伝はまだ継続中という巨編。銀河帝国と自由惑星同盟の不毛な戦いの歴史。永遠に続くかと思われたその流れを大きく変えた二人の英雄、ラインハルトとヤンの物語。まるで歴史ドラマのような感じで話が進む。ＮＨＫの大河ドラマでやって欲しいくらいだ。 敵役としては、（１）人民から搾取するのが当然の権利だと思っている貴族、（２）自分の利益と保身しか考えない腐敗した政治家、（３）守るべき市民さえ犠牲にする過激派軍人、というような「悪」が登場するが、最後の黒幕として宗教団体を出すあたりが、さすがに「現実の歴史が原作」と言う原作者だ。銀英伝を読んで刺激され、歴史の勉強を始めたという人も多いと聞く。架空の話なのに、歴史や社会の勉強になる物語なのだ。 この作品、アニメ技術的にはけっこう稚拙というか、はっきり言って大したアニメではない。また宇宙ＳＦ物としても設定にちょっと無理があって、そういう点では誉められた物ではないのだが、そんな事は問題にならないくらいストーリーが良い。 |
| 「天地無用！（テレビ版）」 １９９５年 テレビ東京（全２６話） １０年くらい前のＯＶＡをテレビシリーズに作り直した物なので、かなり出来が良い。この手の話の練りが手慣れている感じ。ただ、天地無用！シリーズは元のＯＶＡ版、テレビ版、映画版、後に作られた「新・天地無用！」などでいちいち設定が違う所があり、どれが本当の流れなのか判らないのがちょっと気持ち悪い。都合の良いように変化しつつ、いつまでも続く無限の日常なのか。 |
| 「魔法少女プリティサミー」 １９９６年 テレビ東京（全２６話） 天地無用！のキャラクターをそのまま使った自己パロディーＯＶＡが、独立してテレビシリーズになってしまった物。以前旅行先のテレビで見た時は安易な内容という印象が先に立ったけど、今見ると印象が違う。むしろ本家の「天地無用！」よりも好き。主人公が「こんな変な格好、恥ずかしいよぉ」と言って、変身したがらないのがおかしい。あっけらかんとした明るいストーリーが心を和ませる。 それにしても最近のこの手のアニメはもう、分かる人にしか分からないギャグが多くて、オタク専用アニメという感じだなあ。プリティサミーの第１話のタイトル「サミー大地に立つ」はガンダム第１話「ガンダム大地に立つ」のパロディだし、飛び箱女が出てくる「あの箱を飛べ！」はウルトラセブンの「魔の山へ飛べ！」のパロディだし、「こ、この技は、民明書房の本で読んだ事がある！」というセリフは、昔ジャンプに連載してた「魁！男塾」を読んでないと全然笑えないぞ（苦笑）。 |
| 「バーンナップ・エクセス」 １９９７年 ディレクＴＶ（全１３話） 個性的過ぎるギャル５人とスケベ男１人の近未来警察特殊部隊の活躍。ありがちな設定だけど、それなりにしっかり作ってるというのが好印象。アクション、ギャグ、お色気など、メリハリが効いてなかなか楽しい。 やたらにおっぱいを強調したコスチュームとか、やたらにおっぱいがボヨヨンと揺れるとか、オタッキーなパロディーが多いとかは、この際よしとしよう！(^^; テレビでも映画でもビデオでもない、ＣＳのペイパービュー専用アニメ（１回毎にお金を払って見るアニメ）として登場した。普通の映画が１本５百円くらいで見れたのに、こいつは１回８百円もした。そのせいか、イマイチ人気が無かったようだ。 |
| 「こどものおもちゃ」 １９９６年 テレビ東京（全１０２話） 元気な女の子が主人公。一見おちゃらけたギャグアニメに見えるけど、実はめちゃくちゃシリアスで深刻な内容だ。両親が離婚したとか、主人公が実は捨て子だったとか、親が破産したとか、そういう夜の１時間ドラマでやってそうなシビアなネタを、しかし暗くならずに明るく楽しく描いている。 普段明るく元気で悩みなんか無いように見えるギャグっぽいキャラが、実はとてつもなくシビアな問題を抱えて生きているという展開は、全部をシリアスでやられるよりも衝撃的だ。 辛い境遇の中でも明るく前向きに生きている主人公を見ると、こっちも「がんばらなくちゃ」と思ってしまう。特に第１３話までの展開が白眉。こういうドラマはギャグとシリアスのバランスが非常に難しいと思う。製作者はデキる！ |
| 「水色時代」 １９９６年 テレビ東京（全４７話） 普通の中学生（女の子）の、普通の日常を描いたアニメ。特別な事件はほとんど起こらず、誰もが経験したような中学時代をそのままドラマにしたような感じ。どこにでもある普通の生活が淡々と続く。タイトルも「バレーボール大会」とか「学期末試験」とか、そのまんまのタイトル。見てると「ああ、そう言えば中学の頃はこんな感じだったなあ・・・」などと思ってしまう。主人公が初潮を迎えて本人は全然嬉しくないのに、両親は「今夜は赤飯だ」と喜ぶ話があって驚いた。 あと、主人公の事が好きなのに最後まで「いい友達」のまま終わってしまった脇役の男子を主人公にした特別編の回があったのだが、告白する為にギターを練習したり、捧げる歌（オリジナル）を作ったりするんだけど、結局告白できないという展開には身につまされるものがあった（涙目）。くおぉぉぉっ！(T^T)o |
| 「バトルアスリーテス大運動会」 １９９７年 テレビ東京 世界各国から女の子ばかり集めた体育学校（？）が舞台の熱血ドタバタ。色々な運動競技をするんだけど、それがみんな度を外れて超人的。女の子たちが何十トンもありそうな巨大なローラーを引っ張りながら荒野を爆走するとか、自転車でジェットコースターみたいなコースを競争するとか、いくらコメディタッチでも無理がある超人ぶり。 実は、地球を狙っている宇宙人がいて、こいつと陸上競技勝負で負けると地球を取られてしまうのだ。その勝負の日に向けて超人的な特訓をしていたのだった。「陸上（競技）で勝負だ！」って言う宇宙人って一体何物・・・？(^^; |
| 「赤ちゃんと僕」 １９９６年 テレビ東京 通称「あかぼく」。ホームドラマアニメ。 小学４年くらいの主人公と、３歳くらいの弟。お母さんが事故で死んでしまったので、主人公は毎日弟の世話をしなければならない。「同級生の友達はみんな遊んでいるのに、どうして僕だけこんなに大変な目にあわなくちゃならないの？」と思いつつ、やっぱり弟は可愛いのだった。おもわずホロリとなっちゃうストーリー。（それにしても幼稚園に行ってる子に「赤ちゃん」はないんじゃない？） |
| 「パーフェクト・ブルー」 １９９７年 サイコホラーアニメ映画。Ｒ指定。Ｒ指定といってもポルノではなく、強姦シーンとかショッキングなスプラッタシーンがあるため。 大友克洋企画、江口寿史キャラデザのリアル系の絵柄。公開前まではけっこう話題になっていたのに、公開後はさっぱり話を聞かなくなっていた。上映した映画館が少なかったのかも。 ＷＯＷＯＷで放送したのを見たのだけど、これはなかなか良かったですよ。歌手から女優に転向しようするアイドル。アイドルを追うストーカー。ストーカー映画かと思いきや、「もう一人の自分」が出現する所から一気に精神世界系ＳＦになる。そして無気味な殺人事件が発生。どこまでが夢でどこからが現実か？ 劇中劇が何重にも重なり合って、観ているこっちまで頭がおかしくなりそうな、そんなサイコなアニメだ。 冒頭で主人公のコンサートシーンで、本番直前、楽屋で主人公が「ああ！緊張してきたぁー」と手をバタバタさせる所とか、いかにもアイドル歌手という感じの歌と踊りがリアルでグッド。 |
| 「メタルファイターＭＩＫＵ」 １９９４年 テレビ東京（全１３話） 未来の女子プロレス、メタルファイトのレスラーみくちゃん。ＳＦ的舞台設定はあるものの、内容的には単なるプロレス根性物。ストーリー的にも絵的にも派手さは無い。誉める程ではないけれど、そこそこ楽しめたりする。 |
