| 米国ＦＯＸ系のテレビアニメシリーズ。日本で言えば「ちびまる子ちゃん」に相当するようなアニメだ。トゲのあるギャグやパロディが魅力。どちらかと言えば大人向けの内容だ。（公式ホームページはここ） 日本ではＷＯＷＯＷが１〜２年遅れで放送しているが、当初期待された程にはメジャーになっていない感がある。ＣＣレモンのＣＭで見た事はあるが本編は見た事が無い、という人がほとんどなのではないだろうか。 私も最初は「ありがちなアメリカのアニメ」という程度の認識だったのだが、見ているうちに引き込まれ、すっかりファンになってしまった。黒沢家がＷＯＷＯＷを解約せずに続けているのは「ザ・シンプソンズ」を見たいがためなのだ。 内容を一言で説明すると、スプリングフィールドという町に住むシンプソン家のドタバタ騒ぎ、という事になる。シンプソン家は親子５人。 父親： ホーマー（原発勤務。食いしん坊でバカ。いつもドジばかり） 母親： マージ（専業主婦。いちおう常識人。劇中では美人という評判） 長男： バート（小学４年生。いたずらの天才） 長女： リサ（小学２年生。子供らしからぬ大人びた趣味と知性の持ち主） 次女： マギー（１歳前後。いつもおしゃぶりをチュパチュパと鳴らしている） この他に近所や職場や学校の個性豊かなキャラクターが絡み、基本的に大笑い。時にはホロリ、時にはドキリとさせるストーリー。 パロディ・ギャグのセンスとバランスが上手い。ドタバタの中にキツい皮肉が込められていたり、笑った後にしっとりとさせるエピソードなど。（ただし、面白くない回もけっこうあるけどね） なお米国では半年放送・半年充電というサイクルを繰り返して放送している。だからＷＯＷＯＷでの放送も４月〜９月だけで、１０月〜３月はお休みである。また、日本では放送していない回もいくつか存在する。例えば、日本の過激なクイズショーに出演する回があるのだが、内容を調べてみたら、これはいかにも日本では放送できそうにない内容だった。 |
| 【特に印象に残っている回】 「ホーマー、自然に帰る」 隣のフランダースに対抗してキャンピングカーを買ったホーマー。キャンプに行ったらいきなり遭難。ホーマーはビッグフットに間違われてしまう。捕獲され検査を受けるが、専門家もホーマーが人間かどうか分からないまま終わるのが笑える。 「バーンズ、知事選に出馬！！」 バーンズはホーマーが勤める原発のオーナー社長だ。そのバーンズが原発の安全上の欠陥を隠すために自分が知事になろうと決意する。宣伝方法しだいで簡単に民衆からの支持率が変わってしまう所が痛烈。 「命知らずのバート」 バイクのスタントを見たバートがスタントマンに憧れて、スケートボードで峡谷をジャンプすると言い出した。ホーマーはこれを必死に止めようとするが、最後は自分自身がジャンプして谷底へ転落。 「マージの熱き闘い」 子供に大人気の過激な暴力アニメ「イッチー＆スクラッチー」。このアニメの影響で子供が暴力的になってしまう事を知ったマージは、暴力アニメ追放運動を展開する。その結果「イッチー＆スクラッチー」から暴力が消えて優しいアニメになったのだが、しかし優しいアニメは子供に受けず、子供達はアニメを見なくなってしまった。アニメを見なくなった子供達は外で健康的に遊ぶようになるのだった。アニメの中でアニメを否定している所が実に皮肉たっぷり。思わず苦笑してしまう。 「残された時間」 寿司レストランで毒フグを食べてしまったホーマー。医者は彼に明朝に死ぬと宣告。残された時間を有効に使おうと努力するのだが、なかなかうまく行かない。最後、生き延びたホーマーが「これからの人生は一秒たりとも無駄にしないぞーっ！」と宣言するのだが、その次のシーンでは、ホーマーがいつものようにテレビでボーリング中継を見ながらスナックを食べるシーンが延々と続く。これには大爆笑だ。 「デトロイトの嵐」 ホーマーには生き別れの兄がいた事が判明。やっとめぐり会えた兄ハーバードは何と！大きな自動車会社の社長だった。ハーバードはホーマーに次世代自動車のプロジェクトリーダーを任せるが、出来上がったクルマのおかげで会社は倒産してしまうのだった。（当時はまだ日本がイケイケ状態だったので、「そんなだから日本車に負けるんだよ」みたいなシーンが出てくる） 「ホーマー辞典」 ホーマーは原発の安全管理をやっているのだが、ついにメルトダウンの危機に直面してしまう。操作盤のどれかのボタンを押せば危機を回避できるのだが、ホーマーは教習時に遊んでいたので、どれが正しいボタンなのか全然判らない。「どれにしようかな、神様の言う通り」で押したボタンがたまたまそのボタンだったのでメルトダウンは回避され、一躍ヒーローに祭り上げられるホーマー。辞書に「ホーマーに並ぶ： 凄い幸運のおかげで事がうまく運ぶ事」という項ができる。 「バートのトラブルトラベル？」 ニセの運転免許証でレンタカーを借りたバート。テネシー州まで万国博覧会を見に行こうとするが、開場に着いてみたら博覧会は１０年以上昔に終わっていた。レンタカーは太陽の塔に押し潰され、お金も無くなり、路頭に迷う。 「ディア・フレンド・リサ」 優等生過ぎるリサは友達がいない。夏休みでバカンスに行く事になったのを機に、流行っぽい娘に変身する事を計画する。時々ある「しみじみ」系のドラマ。 「イッチー＆スクラッチーを救え！」 アニメ「イッチー＆スクラッチー」の真の作者と名乗る人物が登場。バートの協力で、この真の作者が裁判に勝つのだが、敗訴したアニメ製作会社はもうイッチー＆スクラッチーを作れなくなってしまった。バートは自分のおかげで大好きなイッチー＆スクラッチーが無くなってしまったのにショックを受け、なんとかイッチー＆スクラッチーを復活させようと画策する。アニメやマンガの「パクり」をテーマにした内容で、シンプソンズの登場人物も他の作品のパクりだと口をすべらせてしまう所がキツい。 「ハロウィンスペシャル６（３Ｄの衝撃）」 毎年恒例のハロウィン特別編。特殊な宇宙線によって広告キャラクター人形が動き出し街を破壊する話。ホーマーが３次元に行く話など。「この世界は２次元ですが、Ｚ方向に厚みがある立体。３次元というのがあるのです！」「何だってぇ！？」というのがおかしい。 「ホーマーは二度越す」 原発に長く勤めているという理由でグローベックス社にヘッドハンティングされたホーマー。グローベックス社は待遇が最高。スコルピオ社長はカジュアルな人物で、社員の健康や仕事を心から心配してくれる理想的な上司だった。しかし、スコルピオ社長は世界征服を企む悪の首領（００７シリーズのパロディ）でもあった。絶対に気が付きそうなものなのに、ホーマーが最後までそうとは気が付かずにスコルピオ社長と付き合う所がおかしい。 |
| 「ザ・シンプソンズ」、声優の謎 ザ・シンプソンズの英語版の声優を調べたところ、驚くべき事が判った。声優ひとりで３役４役は当たり前。しかも１人で重要なレギュラーを何役もこなしている事が判ったのだ。 具体的に言うと、例えばホーマー役の人は、 バーニー（ホーマーの友人。いつも酔っぱらっている） エイブ（ホーマーの父） ピエロのクラスティ（夕方やってる子供向けショーの司会） ウィリー（小学校のグランドキーパー。スコットランドなまりが激しい） クインビー市長（汚職まみれ。すぐ市民に迎合する） バート役の人は トッド（隣のフランダース家の子供） ロッド（同上） ネルソン（バートと同級のいじめっ子） ラルフ（リサと同級のトロい子） バーンズ社長役の人は スミザーズ（バーンズの秘書。バーンズを崇拝している） フランダース（ホーマーの隣の家に住む敬虔で善良で出来過ぎな人） ラブジョイ牧師（いつもフランダースに悩まされる、やる気の無い牧師） スキナー校長（元グリーンベレー。実はスキナー本人ではない） ヒバート医師（シンプソン家かかりつけの医者。意味もなく笑う） オットー（小学校のスクールバスの運転手。実は無免許） ケントブロックマン（ＴＶニュースキャスター） レニー（ホーマーの同僚） ・・・といった具合だ。 特に、バーンズ社長とスミザーズ、フランダースとラブジョイ牧師、ホーマーとバーニー、ホーマーとエイブ、バートとネルソンなどは同時に登場する事が多く、これらを同じ人が演じているというのはとてつもなく意外だ！ 「サザエさん」で言えば、波平とマスオとノリスケが同じ人、「ちびまる子ちゃん」で言えば、お姉ちゃんとまる子とたまちゃんが同じ人というのと同じくらいの意外度だ。 |
