| ＦＯＸチャンネルでリピート放送中のアニメ。前にも書いたけど、噛めば噛むほど味が出るタイプのドラマ。もうすっかり惚れ込んでしまった。以前はザ・シンプソンズに惚れ込んでいた私だが、最近のシンプソンズははっきり言って全然面白くない！もう完全にマンネリ状態だ。以前はシンプソンズを見るためだけにＷＯＷＯＷに加入していた私だけど、今ではもう録画しても一度も見ない回があったりするくらいだ。 それにひきかえキングオブザヒルは素晴らしい！(^^; キングオブザヒルも何年か経つと今のシンプソンズみたいにマンネリになっちゃうのかもしれないけれど、その時はその時！ キングオブザヒルは今が旬。存分に楽しもうではないか！ なあ？ キングオブザヒルを紹介するようなウェブサイトはまだ少数で、たいていの場合「テキサスの片田舎のさえないオヤジが主人公のアニメ」という風に紹介されている。が、私はこの紹介は完全に的外れだと思う。まずあの町（テキサス州アーレン）は日本人が思い浮かべる「片田舎」とはだいぶ違う。「都市」というほどではないけれど、「片田舎」と言うほどはへんぴな所ではないな。農場とか牧場などはほとんど登場しないし。 そして主人公のハンク・ヒルは「さえないオヤジ」ではない。小さなプロパンガス販売会社のセールスマンだけど、会社ではトップの営業実績を誇り、真面目で誠実。頼りになるお父さんという感じ。本気でプロパンガスに人生を懸けているプロパンガスマンだ。 この手のアニメやドラマは、普通は主人公がボケ役で、周囲をかき回してドラマが進むというタイプが多いと思うが、キングオブザヒルでは周囲にボケ役がいて、主人公がかき回されるというパターンが多い。 あと特徴として、人間関係やその人物の過去がキッチリしている。以前の回で起こった出来事は事実として残っている。ある回で怪我をするとその後の何話かは治療している様子が描かれるし、坊主頭になった回の後では徐々に髪が伸びていく様子が描かれている。途中で死んでしまったキャラについても、死んだという事実が残っている。サザエさんみたいにいつまでも日常が繰り返すというというのとは違う感じ。ただし登場人物が歳を取っているかどうかはちょっと怪しい。ボビーはいつまで経っても中学１年のままな気がする。 前にも書いたけど、絵的にはザ・シンプソンズに近い。が、マンガ的な非現実的なエピソードは少数で、多くは実際にありそうな日常的な出来事のドラマだ。子供向けではなくて、大人が見て楽しむドラマである。 例えば、子供が欲しい妻があまり乗り気になれない夫に、「さあ、今日も頑張るわよー」などと上に乗っかってくるみたいな、結婚生活のリアルな面まで描写されているので、そういう意味では子供向け度は低い。ある程度世の中の事を知った後の年齢向け。 愛国精神を褒め称える内容とか、銃を使った犯罪で関係者が実際に死んでしまう話とか、ネイティブアメリカン（いわゆるインディアン）や移民者など少数民族の問題、失業、離婚、麻薬とかが出てくるのがアメリカらしい。 実写でもできるドラマ内容ではあるけれど、実写だと生々しすぎるような内容がアニメで上手く表現されていて、あの下手っぽい絵も良い味を出てる。この「下手っぽい絵」がクセもの。絵的に下手っぽいだけで、人物の表情の表現がかなり細かく演出されており、人物の存在感という意味ではかなりリアルだ。 主人公： ハンク・ヒル 小さなプロパンガス会社の販売員。社内ではトップの営業成績で、自分でもそれを誇りにして生きている。 家族を大切にする常識人で、曲がった事が大嫌い。地元テキサスを愛し、保守的。古き良き伝統を子供に伝えようと思っているようだ。子供の頃からの友人３人（デール、ビル、ブームハウアー）がすぐ近所に住んでいて、この３人と家の前で缶ビールを飲みながらダベるのが日課になっている。妻のペギーとは結婚２０周年。しかし子供はボビーの１人だけ。 ハンクの妻： ペギー 小学校の先生みたいな外見と性格。知性で勝負するタイプの女性で、実際、小学校の代用教員をやっている。また、地元の新聞に自分のコラムを持っているようだ。キャリアウーマン的な野望があって、自分が管理職になって店を持ったり、何かの事業を興すのが夢。またスポーツが得意で、ソフトボールチームのピッチャーとして活躍している。本当はもっと子供が欲しかったのだが、ハンクの身体に問題があってなかなか子供ができなかった。結婚２０周年の今でも、まだあきらめてはおらず、何とか妊娠するように努力している。 ハンクの息子： ボビー デブでのんびり屋。日本で言えば中学１年生。外見的にはモテないのろまという感じなのだが、これが意外に芯が強くて、けっこういいヤツだ。将来はコメディアンになろうと考えている。隣に住んでるカーン家の一人娘カーニー（同級生）の事が好きで、お互いに徐々に好意を強くしてきている。最初の頃は単なる隣人という感じだったけど、第３シーズンあたりでは既に公認カップルという感じ。 ペギーの姪： ルアーン ヒル家に居候をしている。歳は２０歳くらいか？ 頭が悪いという程ではないけれど、ちょっとトロい所がある不幸体質の娘。男運が悪いタイプ。美容師の学校に通っているが、なかなか芽が出ない。 彼女の母親はちょっと困った性格の持ち主で、発作的に夫を刺して服役。夫（ルアーンの父）は妻（ルアーンの母）から逃れるために遠くに働きに行っている。このため彼女はひとりぼっち。行くところが無いのでおばのペギーを頼って来た。ハンクとしてはルアーンには早く独立して欲しいのだが、なかなか自立できないでいる。 ハンクの父親： コットン ガチガチ頑固な退役軍人。強烈な男尊女卑で、凄く嫌な爺さん。元々は背が高かったのだが、第二次大戦でひざを撃たれてひざから下の両足を切断。医者に「もう歩く事は不可能」と言われたが意地でリハビリして、膝までしか無い足で歩けるようになった。息子であるハンク自身もコットンは苦手で、嫌な思い出しかないようだ。しかしあの不屈の精神だけは認めているようだ。 ハンクの母と離婚した後は、なぜかハンクの幼なじみの女性と再婚し、しかも子供まで作っている。ハンクとしては自分の息子よりも年下の兄弟が生まれてしまって複雑な心境。 ハンクの母親： ハンクの父親と離婚した後は再婚。新しい夫とラブラブで、いい歳して昼間っから居間でセックスしたりする。その現場をハンクが目撃してしまい、ハンクは精神的ショックで一時的に失明してしまうという話があった。ハンクの母はすぐに現実逃避する性格で、コットンほどではないがちょっと性格的に問題がある。 【ヒル家のご近所】 ヒル家の近所にはハンクの子供の頃からの友人、デール、ビル、ブームハウアーの３人が住んでいる。 ハンクの友人１： デール デールは奇人変人。コンピューターやインターネットに強く、何事も政府が影で陰謀をめぐらしていると信じている。自分では偉そうな事を言うが、いざとなると一番先に逃げ出す困ったヤツ。本業はシロアリ駆除。性格がかなり極端でトラブルメーカーだ。 美人の奥さんと息子が一人いる。しかし奥さんは１０年以上もレッドコーンという男と浮気し続けている。レッドコーンは頭痛の治療という名目でデールの家に毎日のように来て、奥さんとベタベタしている。しかしデールは全く疑わない。浮気に関してはレッドコーンよりも奥さんの方が積極的なようだ。まあ、夫があの奇人ぶりでは浮気もしたくなるわねえ・・・。 デールの息子のジョゼフはレッドコーンにそっくりで、浮気の末にできた子供である事は明白なのだが、でもデールはその事に全く気付いていない。デール以外の人はみんな知っているのにデールだけは気が付かないのだ。 ハンクの友人２： ビル ビルは情けないオヤジ。妻には逃げられ、腹はたるみ汗かきで頭ははげ。服装もだらしなくて女にもてる要素は皆無。陸軍の基地で床屋をやっている。実はペギーに気があり、何かにつけてペギーに近づこうとする。 見るからに頼りない情けない男のビルだけど、実は意外な一面がある。高校時代はライオンのように精悍でたくましい若者だった。高校のアメフト選手として歴史に残る大記録をうち立てている。床屋としての技量もかなり高度であるようだ。またセールスマンとしての手腕も驚くべきものがあるようだが、子供時代からいじめられっ子根性が染みついているため、誉められると逆にやる気を無くしてしまうのだ。 心根は誠実で愛国者。元はフランスの名家の出。本家の血筋が絶えて、一門の中で残っている最後の男という事が発覚し、一門の血を繋ぐ者として３人の美女に熱烈にセックスを迫られて嬉しい悲鳴・・・という話があった。全く意外な過去の持ち主である。 ハンクの友人３： ブームハウアー ブームハウアーはあんまり活躍しないので、どういう人物なのかいまいちわからない(^^; 両親とは別居。独身で、女にモテるらしい。 ハンクの隣人： カーン 幼なじみではないがヒル家の隣に住んでいるのがカーンだ。カーンはラオスからの亡命者で、妻と娘がいる。カーンも妻のミンも頭は良いようなのだが、人前で威張り散らしたり、人をバカにしたりする嫌な性格の夫婦。 悪人ではないのだが、その性格が災いを呼び込む。ただし一人娘のカーンジュニア（通称カーニー）は聡明で性格も良い。ボビーの事が徐々に好きになってきて、最近では完全に恋人同士という感じ。 【特に印象に残った回】 第２シーズン第２３・２４話（各話に日本語タイトルは無い）。 町にある巨大スーパーマーケット「メガロマート」で今度からプロパンガスを売る事になった。値段も安いため、ハンクの勤めるガス会社はガス販売事業からあっさり撤退を決めてしまう。このためハンクは失業。今さら他の職業はできないハンクは、屈辱を感じながらもメガロマートのガス販売コーナーで働く事にする。 ガス販売のベテランである事が誇りのハンクだが、メガロマートでは完全に新人扱い。他にもメガロマートのおかげで職を奪われ、仕方が無くてメガロマートに就職した同じ境遇の人たちと出会う。みんなその筋ではベテランなのに新人扱いされる事に憤まんやるかたない。 ガス販売コーナーの上司はルアーンの彼氏なのだが、この男、やる気無さそうな若造で、ガスの事など何も知らないのにハンクには上司風を吹かせる嫌なヤツ。そんな彼がガスボンベのバルブを持ってボンベを運んでいたため、バルブがゆるみ、ガス漏れが・・・。そして大爆発！！ ルアーンの彼氏は即死。店に来ていたルアーンは髪の毛が全部燃えて無くなってしまい、大ショック。この事故のためメガロマートはガス販売から撤退。ハンクは元の会社で元の職に戻る事が出来た。 一見元通りになったように見えたが、ハンクにはガス爆発の恐怖がトラウマになってしまい、ガスコンロに火をつける事が恐怖になってしまった。ガスが扱えないガス販売員・・・。それはガス販売員の死を意味するのでは？ ルアーンはルアーンで、彼氏の突然の死を受け入れられず、「私は彼の死でショックを受けたんじゃない！」「私は髪が燃えて無くなった方がショックなの！」と現実逃避。はたして２人は復活できるのか？・・・。 なお、この時に死んだルアーンの彼氏は第３シーズンの第２１話で天使（幽霊？）として登場。ルアーンとの別れをする。 |
| [2002/01/27] |
