| 【パプリカ】 筒井康隆の原作を、「千年女優」や「妄想代理人」の今敏監督がアニメ化。映画化の話が持ち上がった際、「千年女優」を見た筒井康隆氏が今敏監督に「パプリカもやって欲しい」と提案したとか。 けっこう期待していたんだけど、残念ながら、と言うべきなのか、前作「妄想代理人」とほとんど全く同じテイストで、登場するキャラもかぶっちゃってる感が強い。音楽も同じ人が担当しているから・・・。この内容だったら「妄想代理人」の方が面白かったな、なんて思っちゃった。う〜ん、惜しい！ 【立食師列伝】 これは実写なのかアニメなのか微妙な所だけど、一応こっちで。 押井守監督の趣味だけで作られた安い作り（失礼！）の映画。もしかして、前作「イノセンス」を作る時に、本当は「イノセンス」に乗り気でない押井監督をプロデューサーが口説き落とす時に、「『イノセンス』やってくれたら次は好きなのやっていいから」などと約束したために作られたのでは？と勘ぐってしまうほど。 はっきり言って、２０年来の押井ファンでも途中で半数以上は脱落するのではないかと思うほどのゴーイングマイウェイ度。 昔自主製作（だっけ？）で作った「赤い眼鏡」では知り合いの声優やスタッフを俳優として使っていたが、今作もそのパターン。常連の声優とか制作側のスタッフ（プロデューサーとか）が実写で出演している。写真アニメーションなので、演技と呼べるものは少ないが、やっぱり顔の表情に不自然さが否めない。俺は見ているのがかなり辛かった。「うる星」の時みたいに、アニメでやった方が良かったのでは・・・。 【劇場版ケロロ軍曹３】 最近ちょっと図に乗りすぎの感があるケロロ軍曹の映画版第３弾。ま、いつもの調子のケロロなんでしょう？と思って見に行ったら、これが実はかなりの傑作。 劇場版にありがちな「キャラ全員集合」とか「話のスケールをでかくしただけ」みたいな、ちょっと残念な所が目立たず、逆に、テレビ版の真骨頂である所の小ギャクが要所要所で良い具合に効いていて痛快。 ストーリー展開も、一発ギャグのネタだと思っていたアイテムが実は後で重要な意味を持って再登場したりして、ギャグがその場限りのギャグに終わらず、ちゃんとストーリー展開に組み込まれている所が偉い。ケロロ映画、第１弾、第２弾は見なくても、この第３弾は見るべし。 【アニ＊クリ１５】 ＮＨＫで不定期に放送している短編アニメシリーズ（？）。押井守、今敏、木村信二、竹内敦志、河森正治、新海誠などなど、日本を代表するアニメ作家が作った１分間の超短編アニメを、番組と番組の隙間に放送している。 民放で言う所の局自身のＣＭみたいな物であり、「番組」ではないため、個別に狙って観るのは難しい。予約録画しようと思っても、電子番組表上では「番組」として扱われていないので、ＨＤＤレコーダーで録画するのは無理。でも時々、メーキング特番とか一挙放送とかをやっているので、そこを狙う事はできる。 個々は短いけれど、それだけに密度が濃く面白い。 【星新一ショートショート】 ＮＨＫでやっている、星新一のショートショートをアニメ化（３回に１回は実写の寸劇）した物。それぞれが２〜３分程度の短編で、ショートショートの味を生かした作りになっている。どの回もなかなかの完成度で、保存しておきたいと思わせる。 でも、先日やった「ひとつの装置」の回はいただけなかった。 原作が言いたかった事が全く伝わらない作り方で、もし俺がプロデューサーだったら却下してる所。俺ならこうする！とコンテを描きたくなった。（シロウトがエラそうに・・・(-_-)ｂｙニョーボ） 【神霊狩/GHOST HOUND】 ＷＯＷＯＷオリジナルアニメ。「Production I.G ２０周年記念作品」と銘打たれ、前宣伝もけっこう力が入っていた。 原作が「攻殻機動隊」の士郎正宗となっているが、氏得意の電脳モノっぽい臭いが漂う場面は後半で、それもごく一部。 九州の田舎町が舞台で、主人公やその友人が話す方言が、けっこう重要な雰囲気メーカーになっている。また、音にこだわって製作されているようで、セリフ以外の生活音や効果音が妙にリアル。 監督の中村隆太郎氏と脚本の小中千昭氏は、１９９８年の問題作「serial experiments lain」でのコンビであり、本作は舞台設定こそ全く違うが、雰囲気は「serial experiments lain」ほとんどそのまんま。 各話のタイトルも「明晰夢」「眼球運動による脱感作と再処理」「恐怖症曝露」「変成意識」など、どれも心理学か何かの専門用語で、劇中で唐突に用語説明が入ったりする所など、「serial experiments lain」とそっくり。キャラクターは士郎正宗氏の絵とは全く異なり、優しいタッチの絵なのだが、これが実際の演技では妙にリアルで、ドキドキさせられる。 田舎の普通の風景の中に、幽霊というか何というか、この世のモノではない「神霊」が漂っている風景。この世「うつしよ（現世）」に重なっているもう一つの世界「かくりよ（幽世）」に漂う神霊たち。本来なら相当に修行を積まなければ出来ないはずの「たまぬけ」（幽体離脱）を、なぜか出来るようになってしまった主人公たち。そして「たまぬけ」して入った「かくりよ」で観た不思議なモノたち。 主人公が幼い頃に体験した誘拐体験と、その事件の真相。新しい「生命」を造る研究をしている研究所の存在。怪しい宗教団体。一見無関係と思われる事柄が一体どこで繋がっているのか？ それは人間には知り得ない、この世の隠された法則なのか？ 最終回で万事ハッピーエンドになったのにはちょっと肩すかしを食らった感があったが、暗い終わり方よりは良かったと思う。何度も何度も繰り返し観てしまった。 【カイバ】 ＷＯＷＯＷオリジナルアニメ。 今どき珍しいシンプル過ぎる絵柄。何だか白黒時代の鉄腕アトム？みたいな。しかしよく見るととても手が込んだ作画だ。 内容を一言で言えば「大人のための絵本」という感じ。大人でないとわからないアダルトな描写もさりげなく入っているので、子供には不向き。 人間の記憶をチップに記録している世界。身体の取り替えや記憶のコピーや消去が可能な世界で、記憶喪失らしい主人公が「何か」を探して放浪する。（いろいろな星を訪れる所は最初の「銀河鉄道９９９」みたい？） 身体を乗り換えて不死になるのが幸せなのか？ 本当に大切な記憶とは何か？ 色々考えさせられる。 【創聖のアクエリオン・劇場版】 劇場版を作る際、テレビシリーズの番外編というか、外伝的な内容にするのはよくあるパターンだが、この劇場版はその逆。つまり劇場版（元はＯＶＡ版）の方が本筋で、テレビシリーズの方が外伝という「オチ」で終わる話なのだった。 ぶっちゃけ、テレビシリーズの終盤はけっこうグダグダだったので、シリーズ前半の良さが続かなくて残念だと思っていた。が、この劇場版の「真の結末」的な内容には溜飲が下がった感じ。 そして同時上映の「一発逆転編」は、まさに番外編的な内容。どちらもファンなら見て損は無い内容と言えましょう。 |
[2008/5/18] |
